Archive for the ‘成年後見の基礎知識’ Category

事業承継と成年後見制度

2013-05-15

先日、当法人の照本氏が講師を務める「事業承継」のセミナーに同席しました。

そこで、今回、瀬川氏的に「事業承継」に関することで、思うところを記事にしたいと思います。

突然ですが、「社長!!事業承継は自分とは無関係」だと思っていませんか?
そうです。事業承継問題は、決して対岸の火事(火事かと言えば火事ではない気もしますが…)ではありません。

会社を経営される皆さんに訪れる問題なのです。

上場会社は別として、日本の大半の企業は、株主=社長または株主=社長及び社長の親族かと思います(以下、「オーナー経営者」といいます)。
こういった、会社では、株主総会の決議が必要な事項(定款変更など)も社長が全て決めてしまっているかと思います。この様な状況の中、株主の存在は希薄になり、あたかも、社長が会社の「所有者」のような気分に陥りがちなように思えます。

しかし、会社の所有者は株主であって、社長は経営者です。
株式会社とは、出資者である株主は経営に参加せず、株主総会で選任された取締役が経営を行います。そして取締役の経営により生み出された利益が配当金として株主に分配されるのです。これを「所有と経営の分離」といいます。

これが会社の形態であって、決して社長が会社の「所有者」ではないのです。

もしオーナー経営者が亡くなったらどうなるのでしょう?

起こりうる問題としてはだいたい次のようなものがあるかと思います。
オーナー経営者の保有する、株式及び事業用資産について、相続人間で争いが起き、株式や、事業用資産が会社の後継者以外の相続  人にもわたることになり、事業の継続に重大な支障となることが予想されます。
例えば、株式が、各相続人に分散することで、取締役の選任ができない状態に陥ったり、会社の事業用不動産が後継者以外の相続人  に相続されることによって、事業自体の存続が困難になったりすることが予想されます。

オーナー経営者の死亡による交代により、得意先や金融機関の信用が低下し、資金繰りが困難になることが予想されます。
また、上記①のように株式や事業用資産が分散したことによって、これらを買取るために、資金調達が必要となり、さらなる資金繰  りの悪化が予想されます。

未公開企業(この場合、上場していない会社のことを意味します)における株式は、業績が好調なときは、評価額が高くなる可能性  が高く、相続税の申告が必要な場合もあります。しかし、未公開企業の株式は換金性が乏しく、物納も困難です。このような会社で  は個人と法人の資産は一体化しており、多額の相続税の負担は、結果的に会社の資産で負担せざるを得なくなることもあり、資金繰  りの悪化で経営危機を招くことになります。

このように、何もせずにいると、オーナー経営者に「もしも」の時に大問題となるのです。

上記のように、オーナー経営者が死亡した際も問題となるのですが、認知症になった場合も同様の問題が生じるでしょう。
取締役に成年後見人が選任された場合、取締役は退任します。では成年被後見人であるオーナー経営者が保有する株式については誰が議決権を行使するのでしょうか?

成年後見人が議決権を行使することになるのですが、成年後見人による議決権行使に関しては、他の株主や役員との兼ね合いもあり、法的に問題はなくとも個人的には行使すべきではないと考えます。

また、認知症の程度が軽かったとして、保佐人、補助人がついた場合、保佐・補助に関しては被保佐人・被補助人を代理して議決権行使をすることができません。また保佐は取締役の退任事由ですが補助の場合、取締役の退任事由ではありません。認知症の診断が出ているオーナー経営者にはたして適切な経営が可能なのかという問題も生じるかと思います。

今日は、今後、どんどん起こりうる事業承継問題についての「問題点」について書きました。
「じゃーどうしたらいいの?」という声が聞こえてきそうです。

私の私見ですが。事業承継問題は「株式の集約」が肝になると考えます。

株式を現オーナー経営者に集約しつつ、後継者を選定し、後継者に株式及び事業用資産を承継させていきます。

具体的方法や問題点などに関しては次週以降徒然なるままに記事にしていこうと思います。

今日は、「問題点」の提議でしたが、「事業承継は対岸の火事ではない」という点を覚えていただけたら私としては幸いであります。

明日で、今週の折り返し地点ですね。まだまだ朝晩冷えますので、風邪に気をつけて残り半分元気に頑張りましょう。

写真は先日、SOLYのみんなでお花見に行った、広島城の入り口の写真です。あえて桜の写真でもなくお城の写真でもないところが「ミソ」です。

不動産の名義変更をしたいが、相続人の中に認知症の人がいる場合

2012-11-05

相続に伴って、不動産の名義変更をする場合も多くあります。
相続で不動産を取得する際には「遺産分割協議書」に相続人すべてが署名捺印して、全員が遺産の分割について合意したことを証明しなければなりません。ところが、その相続人の中に認知症と診断された方がいらっしゃった場合、実はその方が本人の意思で署名したということにはならない場合があります。

そのままではずっと遺産の分割はできないことになりますが、こんな時に成年後見制度を利用することができます。
成年後見制度では法律で決められた代理権のある「後見人」を選定します。その後見人が本人に代わって遺産分割協議に署名捺印するということで、不動産の名義変更が可能となります。

ただ、相続する人が後見人になってしまうと、自分も相続を受け、被後見人も相続を受けるわけですから、利益相反の形になってしまいます。ですからこの場合の後見人には相続人ではない第三者が必要になります。

「成年後見人」というお仕事

2012-11-05

さて、皆さんは『成年後見人』をご存知でしょうか?
成年後見人とは、認知症等で判断能力が十分でなくなった方の生活や、法律手続き(入所契約・相続手続き・不動産の売買等)をサポートする法律で定められた制度です。
成年後見人には、手を挙げた人だれでもがなることができるわけではなく、家庭裁判所に選任されて初めて成年後見人として、ご本人さんのための諸手続きをすることができます。
ご本人さんが相続人となるような相続が発生し、金融機関で手続きをとる必要がある場合や、ご本人さんの入所費用等のためにご自宅を売却しなければならない場合等、申立がなされる理由は様々です。
例えば不動産の売買、判断能力が十分でない方は「売る」ということを理解し、手続きをすることができません。もしかすると、しばらくして、売ったことを忘れてしまっているかもしれません。法律では、意思能力が無い人のした手続きは「無効」とされていますから、多額のお金を支払って不動産を購入した買主さんも、無効にされるかもしれないという不安定な地位に置かれることになり、安全な取引をすることができません。

そこで、法律でさだめられた正式な成年後見人をたて、本人に代わって売買を行うのです。もちろん、成年後見人は、勝手にいろんな手続きができるのではなく、大きな手続きにあたっては、家庭裁判所にお伺いをたてながら進めていくことになりますし、毎年通帳の写し等を添付し壱年の報告を行うことになっていて、常に家庭裁判所の監督下におかれることになるのです。

報酬も、勝手に後見人が自分で決めるのではなく、この毎年の報告を受けた裁判所が、その働きから報酬を決定します。しかし・・・、昨日も成年後見人による財産の横領事件が紙面に掲載されていました。一部の人の不正によって、正しいことをしている後見人も不審の目でみられ、手続きが厳格化されていってしまう。本当に悲しいことですね。

成年後見人について知りたい!と思われたら、司法書士法人SOLYまで、お気軽に

お問い合わせくださいね。
司法書士法人SOLY
ホームページ http://soly.jp

認知症の親の住まいを売却したい。

2012-04-06

少子高齢化も進み、核家族の時代でもある現在、介護費用を捻出しようと親の住まいを売却したいと思っておられる方も多かと思います。
ところが、売却しようとしている土地は亡くなった父親名義だった場合はどうでしょう。

まずは、その父親名義の土地を相続するために遺産分割をしなければなりません。

しかし、その遺産分割をするために話し合う母親が認知症となり遺産分割協議ができません。

自分自身は地元を離れ、別の都市で働いている。

このようなケースはなにも特殊なケースではありません。

そんな時に、成年後見制度を活用することができます。

成年後見での後見人は親族がなることが多いのですが、上記のようなケースでは司法書士などの専門家に依頼する方が良いでしょう。

まず、母親の成年後見の申し立てをし、後見人が契約行為を行うことができるようにします。

次に遺産分割協議を行い、土地を母親の名義移します。

さらに、その売買契約を代理人である後見人が結ぶ。

といった流れで介護の費用を土地建物の売却費用から捻出することができるようになります。

母親の充実した生活のためにも、そしてご自身のためにも、成年後見制度を活用してみてはいかがでしょうか。

法定後見制度の特徴

2012-03-27

かつての制度

かつて、判断能力の不十分な成年者を保護する制度としては、禁治産、準禁治産の二つの制度がありました。禁治産は心神喪失の状況にある人(自己の財産を管理・処分することができない程度に判断能力が欠けている人)を準禁治産は、新進衰弱(自己の財産を管理・処分するには常に援助が必要である程度の判断能力しか有しない人)や浪費者を対象としていました。

前制度でのデメリット

しかし、判断能力の不十分さが心身耗弱に至らない比較的軽度な人は対象外でした。そして、禁治産、準禁治産という名称は差別的であり、宣告により多数の資格制限を受けていました。また戸籍に記載がなされていました。

新しい制度について

現在の法定後見制度では、このような制度をより使いやすく、各人の多様な判断能力及び保護の必要に応じた柔軟な対応を可能にするために、後見・保佐・補助の三つの類型が定められました。、特に補助は痴呆や精神障害で判断能力が不十分であるものの後見や保佐の対象となる程度に至っていない人を保護の対象とした制度で新しく設けられた制度です。

名称についても、心理的な抵抗が少ない名前に変わり、制限される資格も減少しました。

このように、新しい制度のもとで、本人の意思を尊重しながら人生を全うできるようにサポートしていくことが新しい後見制度の意義でもあります。

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