民法大改正でここが変わる! Vol2.未払い債権関する規定
民法大改正で変わるシリーズ。今回は未払い債権について。
債権には時効がある?
そもそも債権については、一定期間その権利を行使されない場合、権利を消滅させる「時効」という制度があります。そして、時効によって権利が消滅することを時効消滅と言います。
基本的に債権は10年、それ以外の財産権(所有権を除く)は20年の時効期間が経過すると消滅すると民法第167条にあります。また、所有権、占有権など時効消滅しない権利もあります。
短期消滅時効
さて、上記は原則ですが、民法や商法には、権利関係を迅速に確定するために、より短い期間で時効が成立する「短期消滅時効」というものがあるのです。
具体的な例を挙げると以下のようなものがあります。
5年 年金・恩給・扶助料・地代・利息・賃借料
3年 弁護士・弁護士法人・公証人の職務に関して受け取った書類についての義務に対する権利
約束手形の所持人から振出人に対する請求権
2年 生産者・卸売または小売商人の売掛代金債権
労働者の賃金
1年 月又はこれより短い期間で定めた使用人の給料
ホテルや旅館の宿泊料・キャバレーや料理店などの飲食料
この他にも、様々なケースで短期消滅時効が存在しているのです。
短期消滅時効の廃止
1898年に施行された民法が、現行憲法に合わせて大幅に改正公布され今に至っていますが、平成の現在、この短期消滅時効に挙げられた様々な職域の権利の他にも、新しい仕事や権利が出てきて複雑化し、不公平感も出てきました。そこで、今回の民法改正では、短期消滅時効という制度そのものを廃止し、5年・10年といった年数に統一するという要綱案が出されたのです。
飲み屋のツケは1年までといった、よく言われるような時効の考え方が大きく変わりますので、民法が改正される前に、特に事業者はその中身について熟知しておく必要がありそうです。


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