民法大改正でここが変わる! Vol1.約款に関する規定
法相の諮問機関「法制審議会」の民法部会が2015年2月10日に民法の債権に関する規定を抜本的に見直す要綱案を決定しました。
要綱案は約款・未払い債権・法定利率・保証人・賃貸住宅契約の5つの項目について特に注意が必要で、今回のブログではその中の約款について解説したいと思います。
そもそも約款とは?
インターネット取引や、保険等の契約の際に、文字がびっしりと詰まった「約款」というのを目にすると思います。インターネットでは「同意する」というボタンを必ず押して次のページへ行くようになっていますね。このような不特定多数の利用者との契約を処理するために、あらかじめ定型的に定められた契約条項のことを言います。これを「普通取引約款」と呼びます。契約はお互いが取り交わすものですが、約款は条項ですので、「同意する」という表現をつかうのです。
約款のどこが問題?
みなさんも良く目にする約款ですが、正直なところ、ちゃんと隅から隅まで読んだことが無い方も多いはずです。そして、何かトラブルがあると『約款に書いてあるので同意していますよね』といわれることになるケースが多くあるという事です。実はこれまでは約款に民法上の規定がなく、約款が契約内容として有効と認められる要件があいまいなままとなっている現状があるのです。 特に近年はインターネット通販などで、消費者が約款を十分に理解しないまま商品を購入し、届いた商品に不満があっても、約款で返品が認められないといったトラブルが相次いでいるのです。
民法がどう変わるの?
これまでも不当な内容の約款は裁判で無効となった判例はありますが、要綱案では、消費者保護の立場を強化する観点から、民法を見直し、約款が認められるための条件を明示しています。それは
1.企業と消費者との間で、約款を契約内容とすることで合意する
2.企業や約款を契約内容とすることをあらかじめ表示する
のいずれかを満たす必要があるとされています。
これによって、ネット通販の場合は、契約成立の前段階で、消費者に約款を読んだ上で同意する旨をクリックしてもらうといった対応が必要となりますし、加えて、消費者の利益を一方的に害する内容の約款は認めない、約款の変更は消費者にとって利益になる場合に限るといったことを打ち出しています。
また、経団連は約款の規定について、多くの事業者で約款が法律に適合しているか確認する作業や、あらたに作り直す作業など、様々な影響があるため、改正される場合は内容を広く周知して欲しいと主張しています。
では、次回は法定利率の引き下げについて解説していきたいと思います。


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