日本人が外国で亡くなったら?相続にはどこの国の法律が適用されるの?

2014-06-29

皆さん、こんばんは。中村です。

さて、明日で6月も終わり。月末を迎えばたばたしそうです。
それにしても、新年度がはじまって、もはや3カ月も過ぎたかと思うと、時の速さにのたまうばかりです(><)
7月に入れば、梅雨も明け、暑い季節がやってくるのでしょうね。

そういえば、事務所の玄関口に、梅雨の代名詞のあの生物が出現中!

かえる

ズームアウトしてみると……。

SOLY玄関口6月

実は、ちっちゃい…(^^;)
照本司法書士が、季節の変わり目ごとに買ってきてくれるのですが、こういう小さな季節もの、癒されます。
さて、今日は、少し珍しい相続のお話を。

先日、外国在住の外国人の方から、メールにて相続のご相談を受けました。
その案件は、日本法を適用するのか、外国法を適用するのかという点で、少々頭をひねるご相談でした。
国際私法がらみの案件は、普段あまり行うことがない案件ですので、事案を簡略化してご紹介してみたいと思います。


1 日本人が外国で亡くなられた場合、相続は?

Aさん(長女・日本人/X国の方とご結婚され、X国で夫婦で生活中)のもとに、Aさんのお父様であるBさん(日本人)が、X国で長期滞在をされていました。そして、その滞在中に、Bさんはご病気だったので、X国内で遺言(財産をすべてAさんに渡すというもの)を書かれ、その後、残念ながら、そのままX国で亡くなられたのです。(ご相談は、Aさんのご主人からでした)

その後、Aさんのもとには日本から1通の手紙が。。。
実は、Bさんには、Aさん以外にもう一人、Cさん(Aさんの妹)という子供がいたのですが、そのcさんからAさんに宛てて、
「Bさんの財産に何があったかを明確にしてください。勝手に処分することはしないでください」という手紙が来たのです。

そうです。日本の相続に置き換えてみると、Cさんは、Aさんに遺留分の請求をしようとしているんだろうなあ…と思われます。
父親Bが長女Aに全財産を渡すという遺言を書いたところ、これを面白く思わない、次女Cが、自分の遺留分(日本の民法では、例え遺言があっても、遺言により財産をもらえない子供は、自分の法定相続分の半分を遺留分として請求できます。)を、長女Aに請求しようとしている場面です。

しかし、問題は、こうした遺留分の制度は、日本の民法では規定がありますが、X国の法律にはないかもしれません。
また、自分で書く自筆証書遺言の場合、いくつかのルールを守らなければ無効になることがありますが、それが日本とX国とでは、遺言が有効になるルールも異なっているかもしれません。

さて、皆さん、どう思われますか?
日本人が、海外(X国)に長期滞在中に、遺言を書き、そして海外(X国)で亡くなった場合に、
日本の民法が適用されるのでしょうか??それともX国の法律が適用されるのでしょうか??

こういう時に、国際私法の出番です。
こうした複数の国のどちらの法律を適用するかが問題となる場合は、「法の適用に関する通則法」という法律が登場してきます。

そして、今回のような場合には、どちらの国の法律を適用するか(これを準拠法の決定といいます。)は、
①「相続のルール」と ②「遺言の有効性のルール」とで、取扱が異なってくるのです。


2 相続のルールにおける、準拠法の決め方

まず、①相続のルールについてです。
これは、「法の適用に関する通則法」によれば、被相続人の本国法を準拠法にすることになります。
つまり、今回の事例であれば、Bさんの本国である日本の民法によります。
そうであれば、日本の民法には「遺留分」という制度があるので、次女Bは、Aに自分の遺留分を請求することができます。

3 遺言の有効性のルールにおける、準拠法の決め方

次にBの遺言が有効かという、②遺言の有効性のルールについてです。
これを考える際には、通則法の他に、「遺言の方式の準拠法に関する法律」というものも考えなくてはいけません。
ややこしいですね(><)

ややこしいので、結論からいうと、遺言の方式の有効性については、

①遺言者が遺言の成立又は死亡の当時、国籍を有した国の法⇒Bの場合は日本
➁遺言者が遺言の成立又は死亡の当時、住所を有した地の法⇒Bが住所をX国に移していなければ日本
➂遺言者が遺言の成立又は死亡の当時、常居所を有した地の法⇒X国
の、①~③のどれかに当てはまればいいのです。

つまり、日本の法律か、X国の法律か、どちらかの法律に則っていれば遺言の有効性はOKということになります。
これは、できる限り、故人の最後の意思である遺言を、有効にしてあげようという趣旨からです。

それでは、このような場合に、遺言が有効であり、次女Bが遺留分の請求をしようとした場合、話合いがつけばいいのですが、そうでなく裁判をする場合には、どこの国の裁判所で行うのでしょう?
仮に、日本で裁判がなされるとすれば、わざわざAさんは日本に行かないといけないのでしょうか?
難しい話です。。。

この続きは、また次回に!
それでは、今週もまた頑張っていきましょう!

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