危険ドラッグと罪刑法定主義
ソリーです。
旅から帰ってきてエンジンがかかってきました。
まだ大丈夫です(何が?)
危険ドラッグ(脱法ハーブ・脱法ドラッグ)の話題が最近のニュースでも多く取り上げられており、先日も大臣の答弁が国会でされていました。
その中で大臣の口からも「規制が難しい」ということが言われました。
さて、なぜ危険ドラッグの規制が難しいのでしょうか。
「法律」の性格から考えてみたいと思います。
国が処罰する時の原則として「罪刑法定主義」があります。
これは、「犯罪として処罰する場合はあらかじめどんな内容を犯罪とし、そしてどんな罰を行うのかが決まっていなければならない」というものです。
つまり、どのような犯罪か、そしてそれに対しどのような罰かが決まらないことには処罰することができないのです。危険ドラッグの場合も、どんなドラッグを利用・所持した場合犯罪なのかという物質の特定がなければ、処罰ができないということですね。
しかし、麻薬の場合は明確にその成分が化学式レベルで特定されるため、検挙率も高いのですが、危険ドラッグの場合化学式も様々で、それをいくら特定しても、また成分を少しだけ変えた危険ドラッグが出回るといういたちごっこの状態なのです。特定することが必須条件ですので、「これは危険ドラッグだ!」と特定できなければ、処罰もできないということになります。
一見、そんな固いことを言わずに、疑わしいものを罰したらいいじゃないかと思われるかもしれません。しかし、この罪刑法定主義は私たちの行動の自由を守るものなのです。その原則として
1.どのような行為が犯罪に当たるかを国民にあらかじめ知らせることによって、それ以外の活動が自由であることを保障する。
2.何を罪とし、その罪に対しどのような刑を科すかについては、国民の代表者で組織される国会によって定め、国民の意思を反映させることが、民主主義の原理である。
ということがあります。
ここから、たとえば遡及法の禁止(刑罰がなかった時代に起こった出来事を現在の法で罰することができない)というのもあります。
ですから、自由主義・民主主義、そしてみなさんの行動の自由を守るためにも、慎重な法整備が必要ということなのです。
ただ、現実に大きな被害が出ている問題ですので、速やかに法整備がされ、私たちが安心して暮らせる社会となっていくようにしたいですね。
今後の展開を見守っていきたいと思います。


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